全世界株式インデックスファンドの投資信託は最近の発明品?
山崎元さんと大橋弘祐さんの著書、『難しいことはよくわかりませんが、お金のふやしかたを教えてください!』を読んで、株式投資を始めた話を前に書いた。
購入した商品は、書いているままにオススメの投資信託『ニッセイ外国株式インデックスファンド(海外株式)』、上場投資信託『上場インデックスファンドTOPIX(国内株式)』である。
購入した額は、この本でオススメされていた、海外と国内株式を50%の額ずつ購入するのがオススメだったので、予算700万円を半々で購入した。
その後のパフォーマンスは、『上場インデックスファンドTOPIX』と『ニッセイ外国株式インデックスファンド』ともに上がり下がりはあれどなかなかに伸びている。
特に米国株が大半を占める『ニッセイ外国~』は、コロナ禍に際してGAFAMを筆頭にしたハイパーグロース株の株価の爆上げの影響で、大いに資産拡大に貢献してくれたものである。
資産が増えているのだから特段に不満はないのだが、そして購入決めたのは僕自身の選択の結果なのだから不満をもつのも筋違いなのだけど、最近になってふと思った。
まず、『ニッセイ外国株式インデックスファンド』は、ニッセイアセットマネジメントが運営している、先進国23カ国の株式を指標化した数字「MSCIコクサイインデックス」に連動したインデックスファンドである。
一方、『上場インデックスファンドTOPIX』は、日興アセットマネジメントが運営している、TOPIXに連動したインデックスファンドである。
投資対象は、先進国23カ国と日本である。だから、いずれのファンドも、先進国のみに投資し、新興国は含まれいないことになる。
投資の原則的な教えとして「長期、分散、積立」という旨があって山崎さんもそのように進めておられるのだが、その割に先進国のウェイトが大きすぎやしないかと。
そして、山崎さんの最近の著書『ほったらかし投資術 全面改訂 第3版』を読むとオススメの投資信託が『eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)』を推奨している。
三菱UFJ国際投信が運営し、株価指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動したインデックスファンドである。
このファンドの国・地域別の構成比率は、日本を含む先進国に88.9%、新興国に11.1%である。
この比率は時価総額加重平均にもとづいて設定したものだろうが、”オール・カントリー”の文字通り、全世界を投資対象としている。
先進国のみならず、新興国を含み、1本のファンドで全世界への投資を可能とする、合理的な選択であろうと思う。
しかし、オススメが変わっているのはなぜだろうか。宗旨替えをしたわけではないだろう。
ここで『eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)』を含む、全世界株式のインデックスファンドについて少し調べてみる。
ちなみに、全世界株式のインデックスファンドにはどのようなものがあるのか。「みんかぶ」の【インデックス型】投資信託人気ランキングをみてみる。
ランキング人気上位の全世界株式インデックスファンドをピックアップすると以下の通り。(あくまで人気ランキングであり、パフォーマンスのランキングではない。)
『ほったらかし投資術 全面改訂 第3版』がオススメしている、『eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)』はインデックス型の投資信託の中で堂々の2位につけている。
- 2位 eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
- 13位 eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)
- 20位 楽天全世界株式インデックス・ファンド
- 28位 SBI全世界株式インデックス・ファンド(雪だるま(全世界株式))
- 59位 SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド(SBI・V・全世界株式)
なお、第1位は『eMAXIS Slim米国株式(S&P500)』である。第3位が『SBI・V・S&P500インデックス・ファンド』、第4位が『楽天・全米株式インデックス・ファンド』とやはり米国株が強い。
近年の米国株ブームを鑑みるに、納得のランキングである。
なお、『ニッセイ外国株式インデックスファンド』は、22位となかなかに健闘している。
ついでもう少し深く、ランキング上位の全世界株式インデックスファンド、それぞれの設定日と特色を以下にまとめてみる。
- 2位 eMaxisSlim全世界株式(オール・カントリー)
設定日:2018年10月31日
特色:MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス
(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果をめざす。
- 13位 eMaxixSlim全世界株式(除く日本)
設定日:2018年3月19日
特色:MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス
(除く、日本、配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果をめざす。
- 20位 楽天全世界株式インデックス・ファンド
設定日:2017年9月29日
特色:「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」、
「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」、
「バンガード・トータル・インターナショナル・ストックETF」を
主要投資対象とし、日本を含む全世界の株式市場の動きに連動する
投資成果をめざす。
- 28位 SBI全世界株式インデックス・ファンド(雪だるま(全世界株式))
設定日:2017年12月6日
特色:グローバル株式インデックスマザーファンド受益証券を
主要投資対象とし、全世界の株式市場の値動きに連動する
投資成果をめざす。
- 59位 SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド(SBI・V・全世界株式)
設定日:2022年1月31日
特色:日本を含む全世界の株式市場の値動きに連動する投資成果をめざし、
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスに連動するETFに
投資する。
こうして眺めてみると、特色についてはファンドによって違いはあれど、どれも全世界の株式市場の値動きに連動する投資成果をめざしている。そして設定日は、古い(歴史が長い)のが2017年12月6日なので、どれもこれもここ5年くらいに設定されたものばかりである。
なお、『ニッセイ外国株式インデックスファンド』の設定日は、2013年12月10日、『上場インデックスファンドTOPIX』の設定日は、2001年12月20日、山崎さんの『難しいことはよくわかりませんが、~』が書かれたのは 2015年11月17日なので、この本が書かれた頃は現在、山崎さんがオススメするような全世界株式インデックスファンドはなかったようだ。
そして、僕が株式投資をはじめたのは2017年4月20日のことだから、まだ世に出るまえのことである。
全世界株式のインデックスファンドの投資信託というのは、すべからく最近の発明であったのだとわかる。
上場投資信託である、ETFはもっと昔から存在していたが、投資信託タイプのものがなかったのは意外であった。
これはなぜであろうか。勝手に想像をもてあそんでみると、基本的に全世界株式というのは、山崎さんの言うように多くの人にとって最適解といえる投資先であると思う。
そして、2018年1月から「つみたてNISA」制度が開始されている。
多くの人のとって最適解の一つである全世界株式は、このつみたてNISAにはぴったりだ。制度がはじまるつみたてNISAに向けて、運用会社はこぞってファンドを開発したという背景もあるのかもしれない。