野々宮家の家計を見直してみた
9月も終わり10月になった。
だが、またまたまたまた引き続き、映画『そして父になる』の主人公、野々宮良多さん率いる野々宮家の家計について語ってみたい。
映画『そして父になる』は子供の取り違えをテーマにした父親で主人公の野々宮良多さんの成長の物語である。子供の取り違えという重いテーマを取り扱いながら、商業的な成功も得た作品だ。
しかし、映画を観て僕が何より気になったのは野々宮良多さんの家計についてである。
エリートとはいえサラリーマンでありながら、なかなかのハイグレードな生活ぶりが気になって家計を診断してみようという試みを何回かに分けて記事にしてみた次第である。
ちなみに、前回までの記事を要約すると、
野々宮良多さんは、大手建設会社に勤める管理職(課長)である。
野々宮家の家族構成は、良多さんの他、専業主婦のみどりさん、そして小学生の息子の慶多くん(6歳)である。
良多さんの年収は、ボーナス込みで1325万円であり、年間可処分所得は1031万810円、1ヶ月あたりの可処分所得約86万円である。
野々宮家の出費は月間91万1000円であり、月々5万1000円オーバーとなる。
なんと、野々宮家の支出は収入を超え、破綻してしまっている。そんな状況が明らかになってしまった。
そんなわけで野々宮家の家計を助けるべく、勝手に改善ポイントを挙げてみたいと思う。
これも再録だが、まず野々宮家の支出は以下の通り。
( )内は合計支出に占めるおおよその割合である。
・住居費 50万8000円(56%)
・食費 12万円(13%)
・水道光熱費 4万円(5%)
・教育費 10万円(11%)
・保険料 1万円(1%)
・通信費 3万円(3%)
・車両費 7万3000円(8%)
・その他(日用品など) 3万円(3%)
・合計 91万1000円(100%)
家計の改善ポイントは一目瞭然。住居費である。
一般には家計にしめる住居費の割合は30%以内に抑えるべきと言われているが、現状は56%とあまりにも高い。
家計の改善は言うまでもなくこれを抑えることに尽きる。
野々宮家が暮らすのはコンフォリア新宿イーストタワーだ。
SUUMOの調査によると東京都内における新宿区の家賃相場は、港区、渋谷区、千代田区、中央区に続いて5番目に高い。2LDKで港区が30万円、新宿区が23.2万円だそうだ。
新宿の家賃相場は東京の中でもかなり高めな上に、さらに野々宮家が暮らすコンフォリア新宿イーストサイドタワーは50万8000円(2LDK 14階の場合)と破格である。
これはどうにかしないといけない。
ということで何の変哲もないが対策は住み替えしかないであろう。
良多さんの勤務先は、スーパーゼネコンの大林組をモデルにしたであろう大手建設会社である。
映画では、豪奢なオフィス街のビルに休日出勤しているシーンがあるが、これは大林組の東京本店と推測する。
大林組の本店の所在地は、JR品川駅前の港南エリア付近のため、良多さんは思い切ってその近くに引っ越すのはどうだろうか。
しかし、港南エリアは品川駅前とはいえ、品川区ではなく港区。港区は東京都内でも最も家賃相場の高いエリアではあるが。とにかくSUUMOで調べてみよう。
SUUMOの、JR品川駅、2LDK、15階以上の高層階、築10年以内の築浅物件という設定で調べてみると、まずヒットしたのが、「品川ハート ビュータワー」である。これは、17階で33万1000円(うち、管理費1万5000円)だ。そして住所も港南エリア。
ちなみに駐車場代は3万5000円。
これで17万7000円も家賃が浮いてしまった。格安SIMに替えるとか、せせこましい節約をしなくても、これだけで野々宮家の家計の問題は解決という気もする。薄々わかってはいたけれど。。。
やはりコンフォリア新宿イーストサイドタワーの家賃があまりに破格なのだ(2回目)。
この品川ハートビュータワーへの住み替えは、完全に良多さんの心情を無視した提案ではあるが、コンフォリア新宿に比べ、住環境の面でそう落ちるとは思われない。
そしてみどりさんはどうだろうか。もともと前橋の一般家庭に育った庶民的なみどりさんのこと、そして、そもそもみどりさんは、良多さんのハイソサエティ志向というか、上昇志向にちょっとついていけてないようにさえ見えた。
そんなだから、みどりさんは住み替えに大きな不満はないだろう。
品川ハートビュータワーから良多さんが勤める大林組東京本店までの距離は、なんと500m。徒歩にして約5分である。
まぁ、タワマンはセキュリティが厳しく、建物から出るまでに更に5分はかかるから、実際は、徒歩10分というところか。それにしてもめちゃくちゃ近い。
これは、多忙な良多さんにとっては職住近接で悪くない選択だろう。
家族との時間も多く確保できるということで、映画で描かれた慶多くんに心の距離を感じさせてしまうこともなかったのではないか。これは慶多くんにとってもいいことだ。
ここで見直した家計を以下にまとめてみよう。
住居費と駐車場代を減額すると次のようになる。
・住居費 33万1000円
・食費 12万円
・水道光熱費 4万円
・教育費 10万円
・保険料 1万円
・通信費 3万円
・車両費 6万5000円
・その他(日用品など) 3万円
・合計 72万6000円
可処分所得が86万円だから、手残りが13万4000円となる。
こうなると、ようやく良多さんの小遣いも賄えそうな感じになってくる。
そして、みどりさんも友達とのランチ代なども捻出できそうだ。
良多さんとみどりさんの小遣いを、合わせて仮に10万円としてみよう。
手残りは3万4000円となり、これは将来の貯蓄に回せそうである。
貯蓄3万4000円というと、ちょうどつみたてNISAの月々の積立限度額という感じだから、
エリート高年収サラリーマンとしてはやや寂しいか。
年収1000万円オーバーにも関わらず、いや、だからこそ老後破綻の危険があると言わざるをえない状況だ。
もうちょっとなんとか改善できないだろうか。
ここからは強引に下げてみよう。そもそも元々がかなりじゃぶじゃぶ使う仮定を僕がしているのだから。
まず、食費を12万円から7万円くらいにはできるかもしれない。5万円ダウンはできるだろう。
そして通信費はもうキャリアの通常プランから、AHAMOなどの割安なプランに変えていただこう。これなら通信品質は落とさずに、1万円から3000円ほどにできる。良多さんとみどりさんの2人分だから、これで1万4000円ダウンである。
日用品も3万円から1万円ほど減らして、2万円としよう。
これで7万4000円の減額が可能となる。手残りは10万8000円である。
多少の貯蓄と、急な出費にもなんとか対応できそうだ。
しかし、車の買い替えと慶多くんの今後の進学に伴う出費、そして老後資金をまかなうのはなかなかに厳しそうである。
そして、取り違えられた実の子である琉晴くんを引き取ることはやはり無理なようだ。
いずれにしても映画では、実際に血をわけだ琉晴くんではなく、一緒に過ごした慶多くんと暮らしていくことを決めるのだから、琉晴くんを引き取る必要はない。
良多さん、みどりさん、そして慶多くんの親子3人で幸せに暮らしていってもらいたいものである。