業務効率化オタク、椅子を買う
僕は基本的に「ミニマリスト」気質である。
必要最小限のものに囲まれている状況に無上の喜びを感じるたちだし、
また、「業務効率化オタク」でもある。使いやすく効率のよいシステムを考えることに無上の喜びを感じてしまう。
だから、生活していて「いらないな」と感じたものを捨てることには抵抗がないし、むしろ無駄なものを捨てられたことに喜びを感じてしまう。
「何か1つを手に入れたら、その代わりに手持ちの何か1つを捨てる」、そんな整理収納アドバイザーのアドバイスを聞くまでもなくナチュラルで実践しているのである。
それゆえ、会社でも隣人がしょっちゅう書類の山をひっくりかえしているのをみては、その山を勝手に捨てたくて捨てたくて、震えてしまう。
ほんとにやってしまうと社会不適合者の烙印をおされてしまうのでやらないけど。
ちなみに僕は今、寂しくひとり暮らしをしている。効率化オタクが高じた挙げ句に奥さんを捨てた、などいうわけはなく、僕が捨てられたのである。
しかし、同居人がいないということは誰に気兼ねなく好きに効率化してもよいということである。「せっかく」なのでチューニングした。
最小限のものを残し機能的かつ、おしゃれカフェっぽい雰囲気もある、いい感じの部屋になった。すこぶる快適である。
ただ、その中で解決しないままの問題を一つ放置してしまっていた。それがデスクチェア問題である。
僕は姿勢が悪い。どんな椅子に座っても背もたれをフル活用してしまう人間である。
会社でも、PCのモニタに頭が隠れてしまうほど姿勢を崩して座っているため、同僚に「お前は席にいるか、いないかわからんよ。」などと言われてしまっている。
ちなみに、自宅で使っている椅子は下の写真のようなありさまで、背もたれががっつりと折れて用をなさなくなってしまっている。
おしゃれカフェ風で壁色にも床色にもマッチして、つまり部屋になじみ、よい感じだったのだが、背もたれをフル活用してした挙げ句、半年足らずであっさりと死亡させてしまったのである。
その下が、サイトから引っ張ってきた新品状態の写真。比べてみるとその無惨さがわかるだろう。
僕はデスクワークが主な設計者であるから、やはり折れたままの椅子で仕事をしつづけるのはさすがに無法者である。まともなデスクチェアを求める気持ちは日増しに高まっていった。
ものの、まともなデスクチェアというのは高いのだ、と見聞きしている。10万円は下らないというか20万円近くがボリュームゾーンらしい。
しかし、こんな時期に何の因果か、新型コロナウィルスに罹ってしまい、テレワークを余儀なくされた時に感じた。「この椅子ではだめだ。。。」と。
そこで、意を決して探しにいくことにした。僕は大阪に住んでいるので、そこそこのデスクチェアが一同に揃う場所といえばここである。「IDC大塚家具 大阪南港ショールーム」。
コロナの自宅待機明けの週末に早速、突撃することにした。
僕は大阪市内の北の方に住んでいるから、JR大阪駅から地下鉄御堂筋線、中央線、ニュートラムを乗り継いで一路、トレードセンター前へ。
誰かのブログによると、梅田からシャトルバスが運行しているらしいが、IDC大塚家具のHPにはシャトルバスの情報は1ミリもなかったから、なくなってしまったのかもしれない。
ここで、僕がデスク・チェアを選ぶ基本的な方針について述べる。
- ヘッドレストがある。
今までヘッドレスト付きの椅子を所有したことはないし、会社の椅子にもヘッドレストはないのだが、何かの機会にヘッドレストを試した時に、ふと首を預けるところがあると体への負担が段違いに軽減されることを知った。長時間作業もこれで安心だ。
- ランバーサポートがある。
ランバーサポートをご存知だろうか。背もたれの後ろ、腰の上あたりに当たるウレタン(?)状のサポートである。元々あまり重視していなかったけど、あるのとないのでは背中の安定感がかなり違う。しっかりと体を支えてくれる。長時間作業もこれで安心だ。
- 後傾姿勢で座れる。
前述の通り、僕は姿勢が悪い。骨盤が後傾しているのだろう。後傾姿勢がぎこちなく感じないフォルムの椅子がほしい。
本当は後傾姿勢を治すべきなのだろうけど、いかんせん僕ももう43歳である。あまり無理をせず、自分の体を尊重してもいいのではないだろうか。
- 座面と背もたれの色が白かグレー。フレームの色にはこだわりなし。
これは部屋とのマッチングの問題。日本の賃貸住宅の壁や、床は白っぽい色味が多い。デスク・チェアといえば黒が多いかもしれないが、部屋になじませるには白かグレーがいいだろう。引っ越したとしても引っ越し先になじみそうだし。
フレームの色は黒かシルバーというところだろう。選択肢があまりないだろうからこだわらないことにした。
- オットマンは不要
足を乗せるためのオットマンを使い切れるほど部屋が広くはない。それに休憩する時は椅子を離れて歩くのがよい。オットマンは不要である。
上の条件をふまえて絞り込んだのは以下である。
- バロンチェア(オカムラ/日本)
ヘッドレストがある。割りと当たる位置がいい。
ランバーサポートはオプションで取り付け可。
やや、前傾姿勢
とにかくカラーバリエーションが豊富。白もグレーも当然ある。
約17万円
ヘッドレストがある。
カラーバリエーションが多く、白、グレーもあり。フレームの色も選べ、
最もカラーバリエーションが豊富。
後傾姿勢。
約22万円
- エルゴヒューマン(コンフォートシーティング/台湾)
ヘッドレストがある。当たる位置がやや下かも。
ランバーサポートあり。
後傾姿勢。
カラーバリエーションは豊富だが、ベースが黒の編み上げ地なのでどんな色も
まあまあ黒っぽくなる。
約10万円
- ゾディ(ヘイワース/アメリカ)
ヘッドレストあり。しかも当たる位置がよい。
ランバーサポートあり。
後傾姿勢。
座面、全て黒のみカラーバリエーションはなし(?)
約18万円
なお、この店には他にも様々な高機能オフィスチェアを扱っており、試座することができる。高機能オフィスチェアの代名詞的存在がハーマンミラーの「アーロンチェア」だろうが、試座してみたのだが、明らかな前傾向きで僕には合わなかった。
上のまとめを見てみてどうだろう。
この時点で僕の求める条件を比較的よく満たしていたのはコンテッサセコンダだ。しかし、問題がある。値段が最も高い。予算は条件に挙げていなかったが、いかんせんこの価格差は無視できない。
値段の差を考えると、エルゴヒューマンも捨てがたい。結局この4種類を何度も座り直して試したがなかなか決断がつかなかったのである。
やっぱりコンテッサであろうか。
そんな中、何度目かのエルゴヒューマンを試していた時に店員さんがふと、こう言った。
「隣に置いてあるエルゴヒューマンの"プロ”はいかがですか?ヘッドレストの高さ調整ができるんですよ。」
なんと、エルゴヒューマン"プロ”にすることで、結局全ての条件を満たせたのであった。しかも値段も1万円ほどアップで相変わらず一番安いのも、大変によい。
こうして僕は無事、エルゴヒューマンプロに決め、家に帰ってからAmazonで購入させていただいた。
IDC大塚家具さんには大変申し訳ないが、将来年収2億円くらいの大金持ちになったら家具の一つでも買うということで許してもらおう。
1週間後、エルゴヒューマンプロが届いた。オフィスチェアは結構重い。女性が一人で組み立てるのは、できなくはないが助けがあった方がよいかもしれない。
部屋に置いてみると下のような感じになった。
元々の健康派カフェ感はだいぶ喪失してしまったが、これはこれで部屋に馴染む色味を選んだのでまあ問題はない。慣れれば違和感はまったくない。
そして、結果として、QOLが爆上がりした。当たり前だが、長時間作業が苦にならなくなった。このブログも苦もなく書くことができる。そして1本のブログネタも提供してくれた。
以下にこれまでのまとめを示す。
- やっぱり座ってみないとわからない。
- 僕は選択に後悔はないが、ほんとうは1週間くらい座ってみるのがよいのかもしれない。
- 自分の骨盤の傾きをふまえフォルムにはこだわった方がよい。ここが一番大事かもしれない。
- ヘッドレストとランバーサポートはやっぱりあるとよい。ヘッドレストは高さも大事。
- 値段が高いのがよいとは限らない。少なくとも自分に合うとは限らない。
業務効率化オタクが椅子を買うまでのプロセスを紹介させていただいた。高機能チェアを買う際に参考にしていただければ幸いである。