やっぱり苦しい、野々宮さんの家計事情

 前回、前々回に続き、映画『そして父になる』の話を続ける。

 メインテーマである子供の取り違えでも、父親である福山雅治さん演じる野々宮良多さんの成長の話でもない。やはり野々宮さんの家計の話だ。

 大手建設会社に勤めるエリートの年間の可処分所得は1031万810円(年収1325万円)、1ヶ月あたりの可処分所得は、約86万円であった。

 前回に続き、支出を洗い出してみたい。

 ちなみに前回調べたのは住居費のみで、なんと50万8000円という考えられない家賃だったのである。

 

【プロフィール】

まずはプロフィールのおさらい。

夫 良多さん 44歳 大手建設会社勤務

妻 みどりさん 30歳 専業主婦

息子 慶多くん 6歳

 

【費目】

 費目としては以下のようになるだろう。前に住居費を求めたので今日は残りの費目について求めていこう。前に調査したのは住居費50万8000円を先に書いておく。

・住居費 50万8000円

・食費

水道光熱費

・教育費

・保険料

・通信費

・車両費

・その他

 

・食費 12万円

 理想の家計として食費は手取り収入の15%まで、という教えがあるらしい。86万円の15%というと約12万円。1日あたり、4000円だ。

 4000円だと外食というわけにはいかないだろうが、良多さんはそもそも仕事仕事の人生だから、家族で外食するにしてもせいぜい休日だけだろう。

 普段の食事はある程度買い置きしているはずだし、みどりさんは失礼ながら完全なる庶民の出なのだから、1日4000円で十分やりくりはできるだろう。

 それに慶多くんも6歳とまだ食べ盛りという年齢でもないから十分だと考える。

 

水道光熱費 4万円

 続いて水道光熱費。これは5%くらいが理想という考えがある。

 となると、4万円というところか。

 妥当性を明確に示すのは難しいのだが、僕の場合は日中不在にしているとはいえ、休日は殆ど引きこもって1人で1万円もかからないくらいだ。

 そのへんから考えると、仮にみどりさんが一日中家にいたとしても、まぁ4万円で十分まかなえるであろう。

 

・教育費 10万円

 慶多くんの学費ということになるのだが、これについてはある程度明確に根拠を示すことができる。なにせ、映画の冒頭が慶多くんの私立小学校の面接からはじまり、そして学校に通うシーンが描かれているのだ。

 慶多くんが通う小学校は、というかモデルになっているのは私立さとえ学園小学校というところらしい。エンドロールにもそう出ている。なのでさとえ学園に通っているものとしよう。

 早速さとえ学園の学費を調べてみよう。以下のサイトを参考にした。

 年間の学費が83万7000円なので1月あたりの学費は約7万円だ。公立小学校の学費が年間32万円で1月あたり2.7万円だからやはりずいぶん高いものだ。

 しかも、この年に入学したのでかかっているはずの制服代 23万円、入学費 25万円は除いた額でこれである。

 しかし、公立小学校とはもっと差が開いているのかと思いきや、そうでもないのが意外であった。会社員でもそこそこ裕福な家庭であれば十分に選択肢に入ってくるという感じだ。

 そして、通学費用と多少のお小遣いとして1万円くらいは必要だろう。

 更に、慶多くんはピアノも習っている。ヤマハ音楽教室の学費は7150円だから、約1万円としておこう。

 すると教育費は、さとえ学園の学費 7万円+通学費、お小遣い 1万円+ピアノ教室月謝 1万円で、10万円となる。

 この費目は今後慶多くんの成長に合わせてどんどんかさんでくるだろうから恐ろしい限りだ。

 

jukenz.com

 

・保険料 1万円

 野々宮家では働いているのが良多さんのみであるから、良多さんに何かあった時の保険は基本的に必要だと思う。

 とはいえ、強気の良多さんのこと、保険をかけている可能性は低いが、野々宮家のもしもの時に備えて掛け捨ての生命保険1万円程度に入っていると考えておこう。

 

・通信費 3万円

 野々宮家はタワーマンションの高層階に住んでいる。高層階は電波が入りにくいという話もあるため、格安SIMではなく3大キャリアであると想定する。

 これは、良多さん、みどりさんそれぞれで1万円ずつ。そしてその他据え置きの電話があったからその料金、家のネット回線費用として1万円の合計3万円と想定する。

 

・車両費 7万3000円

 良多さんはあのレクサスの所有者である。車種は映画に登場するが、レクサス460というセダンタイプ、新車価格はなんと、770万~1595万円である。

 見栄っ張りの良多さんのこと、新車である可能性は高いが、そしてローンが残っている可能性はなお高いが、この際それは完済済みであるとしよう。車の維持費で考えると次のようになる。

 ・駐車場代 4万3000円

 コンフォリア新宿はなんといってもタワマンである。駐車場代も半端ではない。それは4万 3000円はそりゃいくだろう。とはいっても新宿区の場合、そのへんの月極駐車場でも平均は3万5000円くらいはするので大きな差はない。

 ・ガソリン代 1万円

 自動車税自動車重量税、保険、その他メンテナンス費 2万円

 合計すると7万3000円だ。これもなかなかにでかい。教育費と合わせると20万円近くいくのですが。。。

 

・その他(日用品など) 3万円

 それは日用品も必要だし、みどりさんのランチ代も必要だろう。3万円とみておこう。

 

 この時点でまとめると結局次のようになる。

・住居費 50万8000円

・食費  12万円

水道光熱費 4万円

・教育費 10万円

・保険料 1万円

・通信費 3万円

・車両費 7万3000円

・その他 3万円

 そして、合計すると91万1000円。見事に86万円を超えてしまっている。5万1000円オーバー。

 ボーナス込みでこれだから、しかも良多さんのお小遣いもなしでこれなのだから、残念ながら破綻してしまっている。

 とはいえ、これだけのタワマンだの、レクサスだの、名門私立小学校だの、という生 活の割に5万円オーバーで済んでいるというのは意外であった。

 もっと箸にも棒にもかからない破綻ぶりを予想していたのだが、さすがエリートサラリーマンである。

 しかし、これでは慶多くんの他に琉晴くんまで引き取るなんて全く無理な話である。

 部長もよく2人とも引き取っちゃえ、など勝手なことをいうものだ。

 次は野々宮家の家計改善について考えてみたい。