僕が投資信託を購入するまで

 山崎元さんと大橋弘祐さんの著書『難しいことはわかりませんが、お金のふやしかたを教えてください!』を読んで株式投資はじめた(投資信託を購入した)ことを前に書いた。

 

 この本では、「当面の生活資金」、「安全資産」、そして「リスク運用資産」の配分を決め、「リスク運用資産」には外国株式と国内株式の投資信託を半々で購入することをアドバイスしている。

 

 僕は「安全資産」である日本国債は買わずに、「当面の生活資金」と「リスク運用資産」で運用することにし、早速、全資産の65%に達する約700万円を一気に「リスク運用資産」に回すことにしたのである。ほぼ名前を知ったばかりの金融商品にいきなり全資産の65%とは尋常ならざる話で、初心者でなければできない暴挙であると自分でも思う。

 

 このような暴挙と思える行動に出た(出られた)理由を考えてみると、以下の2点に集約できるだろう。

 

  • 中途半端な状態に気持ち悪さを感じる気質

 僕はモノを所有することがあまり好きではない。今でいう「ミニマリスト」の気質があると思う。部屋の中や、机の上はかなりきれいにしている方だと思う。ほとんどモノがない。

 ただ、ミニマリストと違うのは、生活が便利になるならば、また洗練された空間になるのならばモノはあってもかまわない、という考えを持っていることである。

 (それにしてもYoutubeを観ると様々なミニマリストが情報発信をしている。中には洗濯機を捨てて手洗いで洗濯している、などという強者もいる。しかし、手洗いによってどれだけの時間を失うのか、これはバカである。)

 話がそれたが、資産についても洗練された状態を、そう自分があるべきと思う場所にあるべき分の資産が配分されている状態の作りたさ、の圧力が非常に強いと感じる。

 株式投資によってゆくゆく資産を拡大していこうとするならば、まとまった額を投資に回す必要があるのは当然のことで、それを「当面の生活資金」という形で寝かせておくのははっきりいうと無意味だ、という思考のプロセスを経ることで資産の65%を一気につっこむという行動に至ったのである。

 これはミニマリスト気質の特有の感情を抑えられなかったということであり、業のようなものである。投資家として褒められた行動ではないのだろう。

 その後、幸いにして株価は2022年現在まで比較的順調に推移していったのだから、まったく株式市場の状況に助けられたということだ。

 

  • 長期保有の利点に関する理解 

 自らデータを分析したわけではないけれど、全世界に広く分散が効いたインデックスファンドを15年保有すれば元本割れはほぼないと言われている。これはどういうことだろうか。

 山崎さんの本では、おすすめの投資信託によって平均で5%のリターンは期待できると書いている。年5%ということは、72の法則によると元本が2倍になるのは72➗5=14.4年。約15年で元本が2倍になるということだ。

 一方、市場の値動きはどうだろうか。100年に1度の暴落といわれる「リーマンショック」の場合を考えてみよう。

 リーマンショックの時に世界同時株安が起こったが、その際の日経平均株価の最大の下げ幅は半年で42%だったが、その後、持ち直したという。100年に1度クラスの大暴落における下げ幅でも50%いかないくらい、ということである。

 

 つまり、15年保有すれば、インデックスファンドの元本は2倍になり、その後暴落しても1/2になることはまずない。だから元本割れはほぼない、と解釈している。

 

 本を読み、こう解釈することでインデックスファンドのメリット自分のなかで腹落ちした。そして15年の保有は自分には可能であると判断したのである。

 半分になったらさすがに心穏やかではないだろうが、元本割れがないのならば、そして当面の生活に問題が生じないのならばやらない理由はないだろう。

 更に付け加えるなら老後までに15年以上の猶予があるという僕個人の状況も判断材料であることを申し添えておく。

 

 最後に僕が購入した『ニッセイ外国株式インデックスファンド』と『上場インデックスファンドTOPIX』の商品概要を述べておく。この投資信託を勢いで購入した僕の、今に至る資産運用の経過については改めて述べてみたい。

  

ニッセイ外国株式インデックスファンド

アメリカ、イギリス、フランスなど、日本を除く先進国23カ国の株式を指標化した数字「MSCIコクサイインデックス(※)」に連動したインデックスファンド。ニッセイアセットマネジメントが運営する。

 

特徴

 

 ※モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社が運営する指標。公的年金をはじめとして日本の機関投資家が外国株式を運用する際の運用目標として使われている。

 

上場インデックスファンドTOPIX

 日興アセットマネジメントが運営する、TOPIX(※)に連動したインデックスファンド。これを購入することによって、トヨタソフトバンクなど東証一部(現在のプライムに相当)に上場している全ての企業の株式を少しずつ持つことになる。

 

特徴

  • ETF」であり、上場株式と同じように購入できるので売買手数料が安い。
  • 運用管理手数料(ランニングコスト)がかなり安い(年率0.1%未満)
  • 運用資金料と取引量が多く安定している。

 

 ※東証一部に上場している企業の株価の指標。東京証券取引所第一部に上場している 銘柄すべての合計時価総額を、基準時点(1968年1月4日)の時価総額で割ることによって計算する。

 

 上に挙げたインデックスファンドでかなりの分散が効いていることは間違いないが、新興国が投資先として抜けており、これが弱点というか気になるところではある。

 と思ったら、山崎さんの最近の著書『ほったらかし投資術 全面改訂版』では先進国、日本、のみならず新興国にも分散した『eMaxis slim全世界株式(オールカントリー)』をこれ一本でよいとおすすめされている。次々によい商品が出てきているということなのだろう。

 僕は後にこの商品も購入した。