株式投資をはじめた時のこと

 株式投資を始めてかれこれ6年になることと、はじめるまでのきっかけを以前に書いた。

 きっかけは、務めている会社で確定拠出年金制度が開始されたことと、コンビニで偶然みかけた経済評論家の山崎元さん(と大橋弘祐さん)の著書、『難しいことはわかりませんが、お金のふやしかたを教えてください!』を読んだことだ。

 43歳の僕が投資を始めた6年前は37歳。当時はアベノミクスで、日経平均株価をはじめ株式市場は比較的活況で株価は上昇トレンドに乗っていたと思うけれど、今ほど一般の人の投資熱が高まっていたわけではなかったと記憶する。

 前にも述べたけれども、当時は仮想通貨という言葉すらまだ出始め(?)くらいなもので、当然市民権を得ているわけでもなし(まぁ、今でもよく分からん怪しいものと思っている人は多いのだろうな、、、俺もそんなに詳しいわけではないけど)。

 僕自身のことを振り返っても、年収が700万くらいはあったし、手前味噌だけれど特に投資をせずとも金融資産が現預金で1000万円ちょっとはあったと思うから、特段に日々の暮らしに困ることもなく、結構趣味にもお金を使えて、もちろん将来のお金の心配なども全くしていなかった。

 それに当時は結婚していて、奥さんは僕よりも稼ぎが多かったし、奥さん名義の持ち家もあったというわけで。そして子供もいないという、お気楽なDINKSとして、基本的には人生イージーモードと、余裕をかましまくっていたわけである。

(結局、奥さんとはいろいろあって3年後くらいに離婚することになってしまうのだが。。。)

 当然、株式投資による資産運用の必要性などは感じてはいなかったのであるし、また、その知識もなかったものである。

 ただ、当時、資産運用とは呼べないようなものだけど、銀行の定期預金に毎月5万円くらいの積立はしており、それを15年くらいは続けていたはずである。結局このお金が投資の種銭として大いに活用されることになったわけであるし、今思えばこの習慣はめっちゃ重要であったと思う。

 現在、政府は一億総投資家として貯蓄から投資への流れを盛んに推進しようとしているし(その割に金融所得課税の増税の話題がくすぶっているなどスタンスがよくわからないが、岸田総理は結構、この分野は苦手なのかもしれない)、ひとたびSNSをみれば、インフルエンサー達はかしましい。「少子高齢化が進み、めぼしい成長産業もなく、給料の上昇も見込めない日本社会において、更に終身雇用の崩壊が進むなかを生き抜くのに、貯金はオワコンで投資は必須だ。」などど盛んに煽っている。それはそうなのだろう。本当だろう。

 しかし、僕自身の当時の肌感から振り返っても一ヶ月に3~5万円も積立預金ができる生活様式を確立している人は、仮に投資をしなくても、将来にわたって生活が破綻することはないのではないかな、と感じる。どうしてもリスク資産にお金をつぎ込むことが生理的に無理という人だっているのだから。

 そんなわけで冒頭に述べた著書『難しいことはわかりませんが、お金のふやしかたを教えてください!』に戻る。同著の少し詳しい要約はまた別の機会に書きたいのだが、この本では結局こういうことを言っている。

  • お金を運用しようと思ったら銀行には近づかない。
  • ネット証券を活用する。
  • 資産運用は個人向け国債と株式の投資信託だけやる。
  • 投資信託は手数料の安いインデックスファンドを選ぶ。
  • おすすめの投資信託は、『ニッセイ外国株式インデックスファンド(海外株式)』と『上場インデックスファンドTOPIX(国内株式)』
  • アクティブファンドの成績の平均はインデックスファンドを上回ったことはほとんどない。
  • NISAなど税制面でお得な制度を活用する。
  • 持っている資産を「当面の生活資金」と「安全運用資産」と「リスク運用資産」の3つに分ける。
  • 「リスク運用資産」にあてる額は最悪1/3になってもいい金額から逆算する。
  • 1/3になる確率は約2.3%。2.3%がいい方に起これば43%アップ。平均でプラス5%を目指せる。
  • 毎月少しずつ買わずに一気に買うのが合理的。
  • 国内と海外のインデックスファンドを半々ずつ買う。
  • 確定拠出年金も上と同じように割り当てる。

 これをふまえて僕も個人で投資をしてみることにした。

 本を読んだとて、口座開設の仕方も分からないというので、この本で取り上げられているSBI証券に口座を開き、おすすめのファンドを購入してみたのである。

 ちなみに『ニッセイ外国株式インデックスファンド』に約380万円と、『上場インデックスファンドTOPIX』約320万円を購入した。

 残りの現金は約380万円であったから、約65%を「リスク運用資産」に使ったことになる。

 この本には、「投資金額は、最悪1/3になってもいい金額からの逆算によって決めるべき」、とあり、この考えに照らし合わせると、僕の場合は約460万円が目減りしても耐えられるという想定となる。

 未経験の僕が約460万円が減っても平気であるなどとは、自信をもっていえるはずもなく、投資金額を決める際には結構悩んだのだが、結局決め手となったのは、やはり本で述べられている、「毎月少しずつ買うのではなく、一気に買って理想と考える状態を作り出すべき」という考えであり、この考えにウェイトを置いて判断したということである。

 そしてしばらく様子をみて、株価の値動きに耐えられそうだな、と思ったところで更に投資金額を積み増ししていき、今に至る、という感じである。

 ここで大きな暴落を食らったら、いくら頭でわかっていても耐えられたかどうか自信はなく、その面では、当時の株式市場が上昇トレンドにあったことも幸いしたと思う。人が株式投資に持つイメージはその人が株式投資を始めた時の相場の状況にも大きく左右されると思う。

 この本には僕が購入した2種類のファンドの概要説明も書いてあるのだが、当時はこれだけの金額を購入していながらも、実のところよくわかっていなかった。中身に対して少し意識的に学んだりし始めたのは、購入してから1年くらいは経ったころだろうか。他にも色んな商品があるのだな、と理解し自分が買った商品を相対的にみることができはじめたころからである。

 やってみて(自分のお金を市場にさらしてみて)いるからこそ、自然に学ぶモチベーションが湧いてくる、というのは何ごとにおいても往々にしてあることで、だから行動するのは大事だし、やってみないと分からないことはたくさんあるよ、ということだと思う、ありきたりだけれど。

 幸運にも支えられて今なお、株式投資を続けてこられているが、この本に関する雑感や、ここまでに至る経緯をまた改めて述べたいと思う。